一つずつやる訓練
自分の最大の特徴は発想力と行動力なのですが、こういうタイプの人間の特徴として、気が多いので次々と始めるのはいいがなかなか終わらない、というのがあります。発想が次から次へと湧き上がるので、それに楽しくなってしまうわけですね。
ただ、ゲームを作っていた頃、特に初期の頃は一つの作品を仕上げるまでは他の作品に行くことはなかったです。もともと私は気が多いですが、一つのことに熱中するタイプの人間でもあったわけです。
それがどうしてか、けっこう分散するようになっています。思えば、金銭的に余裕がなくなってきたのも影響している可能性がありますね。たしかその頃から散発的になっていった記憶があります。
当たり前ですが、これはあまりよろしくないです
不思議ですね・・・。昔のあの熱意はどこから来たのでしょう。そしていつ切れたのか。思い当たるのが賊王街やハーレム殿下で疲れきったこと。あれで自分を引っ張っていた何かが一回切れたのです。それにすべてを捧げてきたので反動も大きかったのでしょう。
それとイラストの仕事をやるようになって、今までとは真逆の「多方面の細かいことを同時にこなす」ということをやっていたので、一つ一つにかける時間が分散されていったものと思われます。
人生とは不思議なもので、こうした両極端を経験するようになっています。これもたびたび言っていますが、人生のある段階でこれを統合しないといけないのです。裏も表も光も闇も、水も油も知った今、今度はその両方のメリットを繋いで一つのものにする作業です。
学生時代からゲームクリエイター初期~中期は、とても熱い時間を過ごしていました。夢があって理念があって、そのためだけに突き進んでいました。正直、その熱意は今はあまりありません。
やらねばならないという気持ちや使命感はあります。が、昔のような強い欲求はまだ戻ってきていないのが正直なところ。それだけ歳を取って落ち着いてきたともいえますね。
あの圧倒的な熱量は戻らないので(戻すと危険でもあるので)、歳を取って得た知識と経験をブレンドして中道にしていく。熱さは胸に秘めつつ、粘り強く多方面のことを続けていく。これがベストでしょうか。
そのためには、一つ一つ終わらせるという基本的なことが必要です。道理にせよ武道にせよ経済にせよ、物事の真実はいつだって基本にあります。一つ仕上げて、そこで出た課題を次で生かしていく。とてもとても基本なことですが一番大切なことです。
今までは色々なことが数多く起こるので、その対処で精一杯でした。そのつど課題ばかり見つかって四苦八苦していたのです。今もそうですが、その中にあっても続ける力を少しずつ身につけてきました。それを確実なものにする時間が、今という時期なのでしょう。
しかしまあ、いつだって私は自信がない。弱気という意味ではなく、上を知るがゆえに強気になれないものです。一方、若者は愚かで近視眼的だからこそ、恐れ知らずの熱意と行動ができる。かつての私もそうでしたし、両方が自分自身でもあります。
これをブレンドするのは難しいことですが、人生の局面で誰もが経験すること。ただ、力が強い人間はこれが難しいこともあるのです。力の使い方というのは本当に難しいと、この歳になるとだんだんわかってきます。
この力を破壊と創造の両面で自由に使えるようになること。すべてを破壊する激流の中で平静と愛を保ちながら、穏やかで静かな空間で熱い炎を保つ。これが私にとっての大きな課題になりそうです。
まあ、難しいのは当たり前。数多くの修験者が人生を費やして身につけてきた奥義の一つですからね。むしろこの若さで挑めることを感謝しなければなりません。
常々自分は未熟で物足りないと思いながら、今日もできることをやっていきましょう。
ではまた!